宇宙人と猫の尻

電車に揺られバスに揺られ
秋の日暮れ時
知人の出産祝いに黄金町へ
少し寝過ごしたり

少し電車に乗り遅れたり
乗り間違えたり
少し道に迷ったり
祝いに向かった
　
知人宅のベッドに
小さな生命体。猫が
僕にすり寄って来た
猫らしくない猫

かまってほしい感満載
そりゃね赤子がいれば
猫でも赤子にみなさまは
視線はそっちにいくよ

すりすりすりすり
僕の手や足を
甘噛みしたり
膝の上にのり丸まったり

やたらと僕に尻を向ける
尻向けんなよ
猫の尻向けは
猫なりの安心感らしい

どんだけかまってちゃんなんだよ！
まぁいい。日々
飼い主は赤子に精一杯だし
なんとなく察する

なんとなく知人の赤子
生後、一ヶ月
小さな生命体を
両腕で抱き止めてみた

コワイヒト？
コワクナイヒト？
目線を外したり合わせたり
あまりに無防備な小さな生命体

なんか地球に降って来た
宇宙人みたい
チカチカチカチカ
波動を僕に送る

音楽みたいだな
だから僕は
音楽みたいだな、と
赤子にリズムを伝えた

コワイヒト？
コワクナイヒト？
やがて瞼がふさがり眠った
新生児微笑。眠って

つたない笑顔。猫が
またやって来た
じっとこっちを見ている
でもじっとこっちを見て

それ以上近づいてこない
かまってちゃん
気持ちは察するよ
できたらこの子

きみが遊んであげなよ
ワイワイにゃーにゃー
じゃれあいなよ
なんてことを思った